マラリア予防薬
マラリアは、マラリア原虫を保持するハマダラカに刺されることにより感染します。WHOの推計によれば、マラリアに感染するおそれのある人は30億人に上り、年間2億人以上が感染、43万8千人が死亡しています(2015年)。
すべてのハマダラカがマラリア原虫を保持しているわけではありませんが、保持しているかどうかを外見で判断することは不可能なため、マラリア流行地域で一度でも蚊に刺された場合、マラリア感染の可能性を念頭に置く必要があります。
ハマダラカは夜間活動しますので、とくに日没以降は蚊に刺されないよう注意しましょう。マラリア流行地域に滞在しても、まったく蚊に刺されなければ感染することはありません(輸血を受けた場合などは除く)が、現実には容易ではないため、マラリア予防薬の内服が重要となります。
WHOやCDCが推奨するマラリア予防薬として、
- 1.アトバコンープログアニル(商品名:マラロン)
- 2.メフロキン(商品名:メファキン)
- 3.ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)
があり、本邦でもすべて入手可能です(ただし、ビブラマイシンはマラリア予防薬としては承認されていません)。
また、潜伏期間が7~28日ありますので、どの薬剤も流行地域を離れてからも一定期間内服する必要があります。
いずれのマラリア予防薬にも長所と短所があり、どのマラリア予防薬を選択するかは、渡航先、滞在期間、過去に内服したことのある場合は副作用の有無、持病や既往歴、予算などを総合的に勘案し、決定します。
もし副作用が認められた場合、他のマラリア予防薬に変更する必要がありますので、出発直前の処方は可能な限り避けましょう。